歯だけじゃない?これからの歯科の新常識
こんにちは!藤沢市 六会日大前駅にある阿南歯科の衛生士 吉澤です
2年に1度の保険改定が、6月にあります。
今回、歯科医療の中でも「口腔機能(こうくうきのう)」の評価や管理が、これまで以上に重要視されるようになります。これまでは虫歯や歯周病の治療が中心というイメージが強かった歯科ですが、
今後は“機能を守る・育てる”という視点が、より大きな役割を占めていきます。
そもそも口腔機能とは、
「噛む」「飲み込む」「話す」「呼吸する」といった、お口の基本的な働きのことを指します。
一見当たり前にできているように思えるこれらの動作ですが、実は全身の健康や日常生活の質に深く関わっています。今回の改定では、この口腔機能に対する検査や管理が保険診療の中でより明確に位置付けられ、歯科医院としても積極的に関わっていくことが求められるようになりました。
まず、小児における口腔機能の重要性についてです。
子どもの成長過程では、お口の機能が正しく発達していくことがとても大切です。
しかし近年では、やわらかい食事が増えたことや、生活習慣の変化により、噛む力が弱い、口呼吸になっている、舌の動きがうまく使えていないといったお子さんが増えています。
こうした状態は、単に「癖」や「個性」として見過ごされがちですが、
実は歯並びや顎の成長に大きく影響します。
例えば、口呼吸が続くとお口が常に開いた状態になり、顎の発達バランスが崩れたり、出っ歯や開咬といった歯列不正の原因になることがあります。
また、舌の位置や動きが適切でない場合、歯に余計な力がかかり、矯正治療後の後戻りのリスクも高まります。
さらに、噛む回数が少ないことで脳への刺激が減り、集中力や姿勢にも影響するといわれています。
発音にも関係しており、「さ行」「た行」が不明瞭になるケースも見られます。
このように、口腔機能は単にお口の中の問題にとどまらず、子どもの発育全体に関わる非常に重要な要素なのです。
そのため、早い段階で異常や未発達に気づき、適切なトレーニングや生活習慣の見直しを行うことが大切です。
歯科医院では、舌の力や飲み込み方、発音、呼吸の状態などを確認し、それぞれのお子さんに合った指導を行うことができます。
今回の保険改定によって、こうした取り組みがより一般的になり、「特別なこと」ではなく「当たり前に受けられるケア」として広がっていくことが期待されています。

次に、成人における口腔機能についてです。
大人の場合、「特に困っていないから大丈夫」と思われる方も多いですが、口腔機能は加齢とともに少しずつ低下していきます。自覚症状が少ないまま進行することも多く、気づいたときには食事や会話に影響が出ているケースも少なくありません。
例えば、噛む力が低下すると、硬いものを避けるようになり、食事内容が偏ってしまいます。
その結果、栄養バランスが崩れ、全身の健康にも影響が出てきます。
また、飲み込む力が弱くなると、食べ物や唾液が気道に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」のリスクが高まり、
誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
これは高齢者に多いイメージがありますが、実際には中年期から徐々にリスクは高まっていきます。
さらに、口の周りの筋力が低下すると、滑舌が悪くなったり、表情が乏しくなったりすることもあります。
会話の機会が減ることで、社会的なつながりが希薄になり、生活の質(QOL)の低下にもつながります。
つまり、
口腔機能の低下は「食べること」だけでなく、「話すこと」「人と関わること」にも影響を及ぼすのです。
こうした背景から、成人においても口腔機能の評価と維持・改善が重要視されています。
歯科医院では、噛む力や舌の動き、飲み込みの状態などを確認し、必要に応じてトレーニングや指導を行います。例えば、舌や口周りの筋肉を鍛える簡単な体操や、食事のとり方の工夫など、日常生活の中で取り入れられる方法をご提案しています。
今回の保険改定は、こうした口腔機能への取り組みをさらに後押しするものとなっています。
これまで「気になればやるもの」「一部の人が受けるもの」というイメージだった機能管理が、保険診療の中でしっかり位置付けられたことで、より多くの方にとって身近なものになっていきます。
現在、世間的にも「予防」や「健康寿命の延伸」といった考え方が広がっており、医療の在り方も大きく変化しています。
歯科においても同様に、「悪くなったら治す」から「悪くならないようにする」、さらに「より良い状態を維持する」という方向へとシフトしています。
口腔機能の管理は、まさにその中心となる取り組みのひとつです。
当院でも、こうした流れを踏まえ、患者さま一人ひとりの口腔機能にしっかり目を向けた診療を行っていきます。小児の発達サポートから成人・高齢者の機能維持まで、それぞれのライフステージに合わせたケアをご提案いたします。
「しっかり噛めているか分からない」「飲み込みにくさを感じることがある」「子どもの口呼吸や発音が気になる」など、どんな些細なことでも構いません。こちらも呼びかけをしていきますので、気になることがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。口腔機能を整えることは、毎日の生活をより快適にし、将来の健康を守る大切な一歩になります。
これからの歯科は、“歯だけを見る場所”ではなく“、”お口全体の機能を支える場所”へと変わっていきます。今回の保険改定をきっかけに、より多くの方に口腔機能の大切さを知っていただければ幸いです。


藤沢市 六会日大前駅
阿南歯科医院 歯科衛生士 吉澤





